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第1章 出逢い
16時になってキラキラとした日差しが月嶋雫(つきしましずく)の働くカフェに降り注いでいた。ここはログハウス風で落ち着いた雰囲気の、優しい空気と時間が流れる場所だ。その『ランザ』という名のカフェは落ち着いた雰囲気と、優しいオーナーの入れる珈琲とスイーツを味わいたいと密かに人気のあるカフェである。
ただ、その日だけはいつものその雰囲気は消えていた。
あまりにも酷いやり取りに注目が集まっている事にも気が付いていない。
「だっていつもの言い訳でしょ?もう我慢できないのよ私!」
「俺が信じられないって言うのか?」
「信じられるわけないでしょ!!!!」
バシッ!!! 女性は激高していく。男は頬を殴られていた。
もめる2人の男女、女性はますますヒートアップしていき、テーブルを乱暴にたたいて立ち上がるとその勢いで出されていた2つのグラスは倒れ、テーブル全体を濡らしている。
長身でスマート、いつも物腰穏やかで、滅多に怒ることのないカフェ『ランザ』のマスターの晴さんも眉間に皺を寄せている。
止めに入るべきかの確認のためにマスターの方に向いた。
「マスター何かお出しした方が良いですか?」
小声で声をかけると、チラリとお水の入ったピッチャーに視線が向くのを確認して動こうとしたマスターに気がついた雫は、氷水の入ったピッチャーに手をかけて持ち、迷惑客の席に向かおうと一歩踏み出したところでお店の扉が開く音が響いた。
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