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箱を学校で開けることは何となく気が乗らなかったので、帰宅後に開けることにした。
昼休み、いつものように屋上で弁当にありつく。
母さんの料理の腕はまずまずなのだ。
ふっくらとした少し甘味のある卵焼きと、少し箸を入れると肉汁が染み出すジューシーハンバーグ。
これは毎日外せないラインナップ。弁当メニューにしては、かなり上出来だと思う。
そしてハンバーグに箸を入れようとした時、誰かの箸によって、ひょいっと卵焼きが持ち上がる。
「ん~! 今日の卵焼きもおいしー!!」
松原聖子だ。
彼女以外にこれをされたら、俺は元々鋭い目つきをさらに鋭くさせるだろう。
しかし、彼女の反応のあまりの可愛さに俺は少し目元が緩む。
「あっ、そうだ!
箱の中身、何だったの?」
「家に帰ってから開けることにした」
「なーんだ、つまんないのっ」
少し膨れた表情も可愛い。
膨らませた頬に触れたい……おっと、これ以上はやめておこう。
「箱を入れた子、もしかしたら柳沢くんの反応待ってるかもよ?」
隣に座って少し上目遣いに聞く松原聖子は極上だった。
「でも、もしかしたら爆弾かもしれないし」
「なにそれー!! ほんと被害妄想激しいんだから~!」
こんな無邪気に笑う松原聖子を毎日見られるなら、あんな箱一生開けるもんか。
そんな風にすら思えた。
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