3

2/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
昼前まで、テレビの民放各局は一社を除いて特別番組を編成していたが、昼過ぎには全部のチャンネルがUFO関連の番組一色となった。  科学的にアプローチするものから、胡散臭い自称研究家が出演するものまで、バラエティに富んでいる。友好を訴える者もいれば、物騒にも攻撃される前に先制しろと言う者もいた。  政府内でも避難を検討したが、いまのところUFOに動きは全くない。ただ、二十三区内の交通は大混乱で、道路に限らず鉄道も下りは麻痺状態に陥っていた。 「……大変なことになったな」  対策本部会議室にある大きなモニターで、テレビを観ながらつぶやいた。隣に立つ神田も静かに頷く。  記者会見やぶら下がり取材でも、繰り返し冷静な行動を国民に呼びかけたものの、我先にと東京を脱出する人もいれば、野次馬で東京に集まる人もいるようだ。それに加えて、夕方の帰宅ラッシュと重なれば、混乱に拍車がかかった。  午前中のうちに、関係する学者や専門家の招集を指示していたが、交通網の麻痺が影響して、集まりが悪い。  影響は、経済の面でも出ていた。株価は全面安の傾向が止まらず、円も軒並み売られて記録的な円安となっている。 「UFO一つで国が滅茶苦茶だ」  交通網の麻痺は物流にも影響しており、スーパーやコンビニでは多くの物が品薄となっているらしい。夕食の確保に出たスタッフ達が、全員で何軒もはしごして、ようやく食べ物を人数分揃えていた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!