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と、ババーン!!という効果音と共に、圧倒されて言葉一つも出ない可哀想な生徒達に向かって、アイリ姫は宣戦布告した。
アイリ姫が生徒会に突きつけたこの上申書が切欠に、急遽、臨時選挙が開催されることとなった。
十日間の準備期間を経て、全校生徒が上級生校舎裏の第一体育館にて集合し、波に乗れない心境の中で投票することとなった。
結果、九割の支持率を持って、上告者側が圧勝。真生徒会役員が結成された。
この間、姫の甲高い高笑いがずっと上げられ続けていた。
「ふ。この私にかかれば至極当然の結果よ」
「流石です~姫~」
「中々の手腕でございました~姫~」
「だから姫って呼ぶんじゃないわよ!!」
その日の放課後、アイリ姫は早々に引き継ぎを終えてから、校舎中のゴミ拾いを行っていたところであった。御付きのレイニー兄弟と共に。
アイリ姫は実力で勝利した・・・と信じて疑わないが、若干の勘違いが含まれていることに気付いていない。
九割の支持率だって、相手が王族のお姫様だからという遠慮があったからの結果だし。今年から初任期を迎えた旧生徒会役員達が、泣く泣く席を譲ってあげたのもあってのことだ。彼女達の泣き顔を目にした者達は、こぞって同情の念を送り続けていた。
勿論、アイリ姫はその事実を全く知らない。
「ところで。貴方達、どうして生徒会に入らなかったの?ポストも用意して上げたのに」
「いえいえとんでもございません私達なんかが役員になるなんて」
「そうそう私達には身分不相応でございます」
「そ。なら良いわ」
かなり棒読みな台詞であったが、一つも疑わずに、アイリ姫はくるりとそっぽを向いて、不慣れな手つきで鉄ばさみを手繰って、捨てられた空き缶を拾った。
そこへすかさず、さっとティムが用意した籠の中にぽいっと捨てる。どこか上から目線のようにも見えるゴミ拾いの図であった。
「いやはや、新入と同時に生徒会長になるなんて言葉にもできないほどの驚きです。はい」
続けて賛美の言葉を送り続けるムーニー、であったが。
ぽい、と凹んだ空き缶をムーニーの籠に入れた後に、その言葉を待っていましたと言わんばかりに、腕を組んで斜に構えた。
「まだまだ、私の大いなる計画は止まらないわ」
「へ~」
「大いなる計画とは何ですか~?」
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