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かなり棒読みの声であるが、姫は全く気付いていない素振りで続けた。
「私の大いなる計画、とは。まさに!!」
汚れた缶を拾っていた鉄ばさみを握りながら、大きく踏み出すと、握りこぶしを作りながら答えた。
「────この学院の大改革よ!!」
背景に荒ぶる大波と太陽を浮かばせながら、大宣言をかましたアイリ姫に、レイニー兄弟は互いに目を見合わせた。
「・・・え~と。大改革って?」
兄のティムが尋ねるが、ふん!と仰け反りながら、アイリ姫は答えた。
「無論。この学院を根本から変えるのよ。くだらない派閥争いなんていうのを私の代で根絶させるのよ。どう?すごいでしょ」
胸を張って大威張りする姫に、御付きの兄弟はぱちぱちぱちと拍手を叩いた。
「この地位はまだ前座・・・寧ろ、これからが本番よ。次の計画はもう始まっているわ」
「へえ。その次の計画というのは、一体どんなものですか?」
「それは・・・・・・これよ」
棒読みで尋ねたムーニーに、姫は背中を向けながら、さっと何かを手に掲げて見せた。
鉄ばさみを掴む反対の手に握られていたそれに、兄弟は目を丸くした。
何の変哲もない封筒に、でかでかと書かれていた文字は────果たし状、であった。
「え・・・?姫様、誰かと戦うおつもりで?」
「そうよ」
嫌な予感が走ったティムに、アイリ姫は胸を張りながら答えた。
「い、いきなりの急展開ですね・・・漫画でも早々無いと思われますが・・・」
「漫画?何よそれ?」
若干引きつりながら呟いたムーニーの言葉に、反対にアイリ姫が疑問符を打った。
「前々代の生徒会は、かなり無茶なやり方で派閥問題を解決させようとしていたようだけれど・・・私は同じ轍は踏まないわ。正々堂々、誰に対しても胸を張れるやり方で、私はこの問題と向き合うつもりよ」
「・・・はあ」
「そこで、私の計画として、次にやろうとしていることは・・・・・・注目度のアップよ」
と、宣う姫であるが、レイニー兄弟は失笑した。
注目度も何も。もうとっくの昔からかなり注目されておられますよ。と、その目は語っていた。
「この学院内での私の支持率を確固たるものとし、更なる上昇の為には、私自身が与える影響力の強さを下々に具体的に示すことが重要よ。その方法というのが、この学院の中で、一番の重要人物との一騎打ち」
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