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「────大嫌いだった!」  眉間に皺を寄せ、珍しく険しい表情でそう断言した。  あまりにも潔い言葉に、ユウはえ?と固まった。  それは、ニリクだけではなく、他にも同様の様子を感じ取れた。 「当たり前だ!あの男は、我らが主を横取りしただけでなく子まで産ませたのだ!本来であるなら万死に当たる所業だ!それなのにあの横虐振りは何だ!?我らは高位たる『ガーディアンズ』だぞ!!それを青臭い餓鬼だなんだのと無礼にも程があるだろう!!」 「私、生まれて初めてです。金玉女だのと穢い暴言を吐かれたの」 「・・・その・・・人間性は悪くないんです・・・性格に難があるというか、なんというか・・・」  コシープ。ナペレ。最後にノガードが・・・唯一フォローを入れるような言い方であるが・・・口々に証言した。  四人のそれぞれの主張に、見たことのない父の人物像に、ユウはドン引きした。 「・・・俺の父親、そんなにも最低だったのか・・・?」 「支離滅裂だし傲岸不遜であるし傍若無人の悪口雑言の塊であった・・・あまり話題に出したくはない」 「思い出したくもないわ、あの男。思い出せば出す程怒りしか沸き上がってこん」 「そうですよ!私なんかね、本気で頭殴られたんですよ!まだ幼気な子供だったのに!・・・まあ、優しいところはありましたけどね」  ぼそっと、ナペレが不承不承に漏らした。本当に不承不承であるが。怒りの方が大分占めていた様子だ。  度重なる衝撃で固まるユウであった、が。  打って変わって、ニリクは一度嘆息すると、ユウに向き直った。 「最低最悪の人間ではあったが・・・だが、我らにはあの男に大きな借りがある。認めたくはないが、あの男に救われてしまったのもまた一つの事実。そして、その息子であるそなたにもだ。そなたが私達を変えてくれた・・・私達のヨルミナという人間の偏見を、そなたが変えたのだ。ユウや。そなたは驚く程に、ヨルミナに瓜二つだ。その面差しも、その銀色の瞳もな。我らはそなたを通して、ヨルミナという人間に触れることが出来た」  だから、助けよう。  ヨルミナの息子だからではなく・・・たった一人の人間として。 「親友(とも)として」────と。ニリク。 「同志として」────と。コシープ。 「兄弟として」────と。ナペレ。 「息子として」────と。ノガード。 「我ら『ガーディアンズ』は、ユウ・スウェンラに力を貸そう。いくらでも」  ニリクが締めくくり、誓いを立てた。  これほど頼りがいのある仲間は今までにない。少なからず、ユウにとってはそうだ。
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