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で・・・と、ニリクは続けた。
「アサの居場所なら、検討はついておる」
「っ!?本当か!?」
ユウの声に、ニリクはああ、と肯定した。
「先程申した『ガーディアンズ』・・・その最後の一人が、ティーネ国におる。それの名はノイルという」
「ノイル・・・・・・まさか、リオルのことか!?」
「・・・どうしてその名を知っておる?」
「いや・・・その、成り行きで・・・で、あいつもお前らの仲間だっていうのか?」
「奴が最後の『五聖獣』だ。ノイル・ラ=ファングと、今では名乗っておるそうであるが・・・あ奴の居場所は一つしかない」
ティーネ国の中央都市の中心部に、王宮が存在している。
その中に北東大聖堂と呼ばれる場所があり、そこが拠点だ。
そこに、ノイルが・・・そして、アサもいる。
確実な情報を与えられて、ユウは銀色の瞳に輝きを宿した。
早急に、準備が整えられた。
黒のハイネックに、同色のズボンを履く。その上にジャケットを羽織って、腰のベルトを回して、右の大腿部に空のホルスターを取り付けた。本来の得物の代わりの回転式の拳銃を右の内ポケットに入れる。
あとはその上から全身を覆う黒装束を羽織って、フードを被れば完成だ。
ギルバートは燕尾服のままであるが、髪は紫に、目は鳥の目に変わっていた。
全ての準備を終えて、四人の前に立った。
横並びになった四人の内、最初にニリクが知恵を授けた。
「私達はもう長いこと足を踏み入れてはおらぬが、場所は解っておる。後はそこのギルバートに命じれば良い。そやつなら自由に行き来が出来るからな」
これを。と手渡されたのは、あちら側の地図であった。
次に、コシープが前に進み、ユウにある物を手渡した。
「これを持って行け」
そう手渡してきたのは、極彩色の光沢を放つ孔雀の羽根であった。
「『四鳳孔雀』とは、病魔悪鬼を祓う明王の化身。ありとあらゆる病と、死に至る外傷を瞬く間に癒す加護を持つ」
三番目に、ナペレが進み出て、両手を掲げた。
すると、ユウの背後に大きな水鏡が形成された。
「私に出来るのは、貴方を、彼の国の手前まで導くことだけ・・・あと」
一旦言葉を区切ると、ユウの爪先まで近づいて、袖を大きく振りかぶった。
すると、きらきらと光沢を放つ聖なる気が、ユウの真上から降り落ちた。
「我が加護が貴方を護るでしょう・・・」
授けた後で、ナペレは顔を歪ませて、ユウの身体を正面から抱擁した。
「無事に帰って来て下さい」
強く抱擁しながら、耳元で囁いた。
ナペレが名残惜しくユウから離れた後で、最後にノガードが進み出た。
無言で差し出してきた物に、ユウは目を丸くした。
「お前が持っていた偽造品とほぼ同等の性質だ・・・これを肌身離さず持っていなさい。これがお前を護るだろう」
今まで持っていた黒の装飾銃と、何一つ違わない製造品であった。
重さも、感触も、全く同等のそれを受け取り、ユウは胸の中に広がる熱い波を感じ取った。
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