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故に神が振るさいころの死の目を大きくすることまできるのだ。
さあ彼はどんな話をしてくれるのだろう。
私は彼のほうを向く。
それにしても体の向きを変えるにはこの足場はひどく頼りない。
「最近空を見たのはいつ?」
意表を突くような質問に答えが出ない。
ああ、確か今日は雲一つない空だったような。
「空はいつでも僕たちの上にある」
まったく「上を向け」なんて慰めの言葉を掛けたいのだろうか。
「その空に鳥は舞う」
彼の大きな声に驚いて、ちょうど一羽の雀が羽ばたいた。
「さあ、だれが鳥に飛ぶことを強いたのであろうか。
彼らは自分の意志で飛んでいる。
でも彼らはそれに気づかない。
さてそれは幸せなことなのか。
しかしもとより彼らは幸せなど感知出来ないかもしれない。
僕たちの祖先は頭脳を得ることを選んでしまった。
故に彼らのように無心に羽ばたくことができないのだ。
そう、私たちは彼らのように無心でいることより有心に生きる定めなのだ」
どちらが幸せかなんてわからない。
でも格好いい励ましよりはこの言葉が心に残るだろう。
しかし、生まれてしまった以上その環境に適応しなければならないのは人間も鳥も同じだ。結局私は適応できなかったのだ。
「じゃあそろそろ飛んでみるか」
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