ツギハギ

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ツギハギ

 僕がそれに気づいてしまったのは、全くの偶然ではあったのだけれど。少なくとも、その偶然は僕にとってはひどく残酷なものであった。  ぬるぬると手にまとわりつく”他人”の温度に、僕は後悔という感情を抱くことができなかった。  それもまた仕方のないことなのだと、少なくとも僕はそう思っている。  そっと自身の胸に手を当てて、込み上げてくる感情は、やはり後悔ではないのだ。
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