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その事故は幼い僕から過去を奪った。
過去というのは、あくまで比喩のようなもので、僕からすっかり過去がなくなったという意味ではない。
簡単に言えば、記憶喪失だ。
そう、両親から聞かされている。
確かに僕のからだのあちこちには手術痕が、痛々しいほどに残っている。これがどういう手術をしたのかはわからないけれど、これだけの痕を見れば、その事故というものが大層な事故であったと記憶になくても素直に思うのであった。
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