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エピローグ
目が覚めると、また、ホテルのベッドだった。
隣で、美樹が裸の肩を出してシーツに包まっていた。
さっきまでのが現実で、こちらの方が夢のような、不思議な感覚があった。
僕がごそごそしているのに気付いたのか、美樹が寝ぼけ眼で、「どうしたの?」と甘い声で囁く。
「あぁ、怖い夢、見たんだ。女が左脚に縋りついてくるっていう。」
「また、左脚?」と彼女は、少し呆れ顔だ。
「あっ、そうか、左脚だ!そうか、そうか、それで左脚。」と僕が呟いていると、彼女は、「何、ブツブツ言ってるの。それより、もう一度抱いて。」と言う。
「もう一度?」って、あれ、これさっき聞いたような気がする。
そうするうち、美樹は、「どうなってるか、見せなさいよ。」って僕のシーツを剥いで、中を覗いて、「あー!大変だ!ドロドロに溶けちゃってる!触ってみようっと。」とどんどん顔を下半身に近づける。そして、僕自身を掌の中に握って、「グニャグニャだ、溶け始め!」って言って、大きな胸を揺らしながら、こちらを振り向く。
「やだ、何、不安な顔してるの?」と彼女は、笑う。
「えっ?」と僕。
「冗談よ。冗談。それより、早く、もう一度しよ。」と彼女は積極的だ。
夢を挟んで、「したくない僕」と「したい僕」が交錯する。どちらの僕が本当の僕なのか?そう言えば、左脚はどうなっているんだろう?
そちらを見ようとすると、目の前に彼女の顔が近づいて、視界を塞がれる。
まぁ、いいか。とりあえず、美樹に身体を委ねよう。左脚の呪縛は、彼女が解いてくれるのかもしれないから。解けると、溶けるかも。
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