第1章 叶った

2/2
前へ
/2ページ
次へ
神様ありがとうございます、やっと僕の願いが叶う時が来ました。 僕はずっと「幸福な王子」になりたかった そんな願いが叶うと思ってもしなかったが、人生はなんて劇的なんだ。今ツバメ達は僕の宝石を可哀想な人達に送り届けようとしている。僕は幸せなだ。 僕のルビーはある可哀想な少女にツバメは届けたようだ。彼女は5歳の時に事故で世界を失ってしまった、今の彼女には優しい母の笑顔も父の大きな背中も見えやしない。深い海も高い空も色とりどりの花畑も何も見ることが出来ない。そんな彼女にツバメは僕のルビーを届けてくれたみたいだ。 彼女が新しいルビーで母の目を見つめた時そこに居た人間全てが幸せに包まれたそうだ、僕のルビーを盲目の少女に届けてくれてありがとうツバメさん。 僕のエメラルドは元気いっぱいな少年に届けられたようだ。 少年は運動が大好きで。学校の休み時間は大勢の仲間と鬼ごっこ、縄跳び、ドッチボール。学校終わりには習い事の野球、空手 、運動ならなんでも出来た。 だけど、不幸な事によりにもよって少年は運動が出来ない体になってしまったんだ、少しでも体を動かそうものなら心臓は早くなり息は荒くなる、そして胸の部分が酷く苦しくなる。少年は運動が出来なくなってから暗く心を閉ざすようになった、遊んでいた友達は皆外で走り回ってる。そんな学校が辛くて少年はしばらく学校にだって行っていない。そんな時、僕のエメラルドは少年に届けられた。さぞかし手術は恐ろしく不安だっただろう、だけど少年は持ち合わせの勇気と我慢強さで乗り越え今では相変わらず毎日汗だく、泥まみれで家に帰ってくるとか。僕のエメラルドを病気の少年に届けてくれてありがとうツバメさん。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加