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「おはようさん。朝から血なまぐさいことやらないでもらえるか。うちの弟君はこれから大事な学校があるんだよ。俺と違って優秀でね。次期一族の当主になるんだ」
魔物の背後にいたのは派手な色合いのアロハシャツに短パンをはいた金髪の若い男だった。見た目は二十歳くらいだろう。耳には数えきれないくらいピアスを開けており首元には竜のタトゥーが彫られている。
浅黒い肌は色白の紅緒とは対照的で二人の性格の違いを表しているようでもあった。
「兄さん」
安堵やまだ残る恐怖を吐き出すように紅緒は兄を見上げる。
魔物は割られた頭を押さえながら痛みに苦しみ、血の代わりのようにどす黒い煙が傷口から立ち込めていた。
身をよじり膝をついて巨大な鎌を手放す魔物。
「グウウウウウウウウアア・・・・ハハハハハハハハハハ!!!!」
苦しんでいたはずの魔物が笑い始める。激しく苦しんでいたことが嘘のように楽しくて仕方がないといった印象だ。その高笑いは息が切れるまで続いた。
魔物は最後の力を振り絞るように紅緒をにらみつけて言った。
「オレヒトリヲタオシタトコロデ、ドウニモナラナイ。マジョサマタチハカナラズオオクノニンゲンヲコロシ、シハイスルダロウ。ムダナノダコンナコトヲシテモ。イズレオマエノチヲマジョサマニ、ガアアアアアアアアアア!!!」
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