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ばれたっ…!?
私はあまりの焦りに手にしたカップを落としてしまう。幸い割れることはなかったがピシッと湯飲みにヒビが入る音とコーヒーが足元にこぼれる音が静かな給湯室に思った以上に響いた。
給湯室の入り口で立ち竦む後輩くんは
「先輩…その尻尾と耳は…?」
ともっともな質問を投げかけてきた。
「違うんだ!…これはその…そう!趣味のコスプレで…」
会社での私のイメージとはかけ離れているがこの場はどうにかごまかさないと…。
落ち着け落ち着くんだ私、かなり苦しい言い訳だが後輩くんならどうにかなるかもしれない。一息つこうとした私は思わず息を大きく吸ってしまい、私にとっては芳醇すぎる香りが鼻腔を抜け脳内に満ちる。陶酔感で頭がくらくらし全身の力が抜けていく。
「だ、大丈夫ですか!?」
立っているのもやっとな私の様子を見て後輩くんが駆け寄って来る。
「だ…大丈夫だから…」
慌てる後輩くんを落ち着けるために両手を前に出して静止するようにはかる。
くっ…誰だマタタビの漢方薬なんて置いていったのは…。
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