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すごく単純かもしれないけれど、「生きていてよかった」と心から思えたんだ。
そうしてしばらくした後、
「そろそろいこっか!」
と、メイは弾んだ声をあげながら僕に右手を差し出してきた。
僕は大きくうなずくと、その手を左手で掴む。
彼女の温もりがぎゅっと胸をしめつけてくるのを感じながら、僕たちは岩山を下りていったのだった。
………
……
ホスピスに向かっている間、僕たちは色々と話した。
――ねえ、ジュンペイ。恋ってどうすれば成就したってことになるのかな?
――さあ……。どうだろう。
――毎日、ちゅーすればなるのかな?
――それはちょっと恥ずかしいかな……。
――じゃあ、毎日むぎゅぅってすればなるのかな?
――それもどうだろう……。
――むむぅ……。ジュンペイはわたしとちゅーもむぎゅぅも嫌なの?
――そ、そういうわけじゃないよ。でも、何んとなく思うんだ。もっと心がつながるって感じなのかなって。
――心がつながる? もう、わけ分かんないよ!
――ははは、大丈夫だよ。一緒に探せばいいんだから。
――あはは! そうね! これから一緒に探そう! わたしたちにはあと2年もあるんだから!
それは僕たちが今まで目をそむけ続けていた『未来』の話だ。
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