第十二話

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 すごく単純かもしれないけれど、「生きていてよかった」と心から思えたんだ。    そうしてしばらくした後、   「そろそろいこっか!」  と、メイは弾んだ声をあげながら僕に右手を差し出してきた。  僕は大きくうなずくと、その手を左手で掴む。  彼女の温もりがぎゅっと胸をしめつけてくるのを感じながら、僕たちは岩山を下りていったのだった。 ……… ……  ホスピスに向かっている間、僕たちは色々と話した。     ――ねえ、ジュンペイ。恋ってどうすれば成就したってことになるのかな? ――さあ……。どうだろう。 ――毎日、ちゅーすればなるのかな? ――それはちょっと恥ずかしいかな……。 ――じゃあ、毎日むぎゅぅってすればなるのかな? ――それもどうだろう……。 ――むむぅ……。ジュンペイはわたしとちゅーもむぎゅぅも嫌なの? ――そ、そういうわけじゃないよ。でも、何んとなく思うんだ。もっと心がつながるって感じなのかなって。 ――心がつながる? もう、わけ分かんないよ! ――ははは、大丈夫だよ。一緒に探せばいいんだから。 ――あはは! そうね! これから一緒に探そう! わたしたちにはあと2年もあるんだから!    それは僕たちが今まで目をそむけ続けていた『未来』の話だ。     
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