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するとゲンさんはそれまでの重々しい雰囲気を吹き飛ばすような大声で笑いだした。
「がははは!! そんな暗い顔するな! そう言えばメイは言ってたよな! 『わたしがジュンペイを立派な男にしてみせる』ってな! だから大丈夫! お前さんは立派な男になるから! がはは!!」
立派な男か……。
そう言えば、立派な男ってどんな男なんだろう?
そんなことに頭を巡らせていると、あの時のメイの真っ赤な顔が浮かんできた。
思わず笑いが込み上げてきて、抑えきれなくなる。
「ぷっ……はははは!!」
「そうだ、そうだ! なんでも笑い飛ばしちまえばいいさ! がははは!!」
二人で大笑いしていると、遠くからメイのどなり声が響いてきた。
「ちょっと! またわたしのことで笑ってるんでしょ!? 男子が掃除をさぼってたってレイナ先生に言いつけてやるんだから!!」
「おっと、そいつはやべえ」
ゲンさんが舌を出して、モップで床をごしごしとこすりはじめる。
僕もまたぴたりと口を閉ざして、雑巾で便座を拭き始めた。
「まあ、なんだ。色々と言っちまったが、俺はお前さんとメイのことを応援してるからよ。二人が幸せになってくれればそれが一番だよ」
互いに背中を向けたまま、ゲンさんがしみじみと言った。
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