深海 星屑 夢の跡

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深海 星屑 夢の跡

 美しくも恐ろしい深い海の底で、一つの街が、静かに、静かに、眠っている。  人が暮らしていた痕跡を残した大小さまざまな民家の数々、何も所蔵されていない図書館、もう神も祈る人もいない教会、誰も死ぬことのない病院、静まりかえる大通り、そして中心にそびえたつ荘厳な城。かつて、白く雪のように美しいと謳われた街は、暗い海底で儚く存在していた。  魚の鱗が煌めき、マリンスノーが揺らめく姿はまるで夜空の星のように、白い静寂の街がひときわ輝く月のように、辺りを照らす。その光景はさながら一枚の絵画のようだった。  そして、そこには一つ、海の底を美しく彩る者達がいる。人とも魚とも言える、人とも魚とも違う者達が。  人魚、伝説上の種族の一種。色とりどりの尾をなびかせ彼女達は、この海を華やかたらしめていた。  廃れた街は人魚の中でも若い者達にとっては興味を惹かれる楽しい遊び場だ。彼女達の笑い声が静かな街に響くさまはかつて街が地上にあった頃を彷彿とさせる。 暗い深海に、滅び廃れた白い街が、人魚が、鱗が、マリンスノーが、光源の意味をなす。 「ねえ、本当にあった! お婆ちゃんが言ってた街!」  赤い尾をした元気そうな人魚が叫んだ。     
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