2章 僕の世界

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漫画みたいなことって本当にあるのだなと思った。 全ての人の動きが止まり、口を開け、目を見開いて僕を見ている。 相方に至ってはそれに加えて麺が鼻から出ている。両穴から短い麺と長い麺が。 僕はそっと席に着いたが、相変わらず皆固まったままだ。 しかしそれくらいで動じないのが我がボスだ。 固まった空気を一気に溶かした。 「何やってるんだよ!! 夢は寝てから見ろよ!! 」 ボスが僕の背中を勢いよく叩き、僕の顔はそのままラーメンどんぶりの中に。 慌てて顔を上げてどんぶりの中を覗くともうそこに彼女はいなかった。 「何するんだよ!」 涙が溢れ落ちた。 これは悔し涙だ。 ラーメンどんぶりに顔を突っ込んだことでもなければ、背中を叩かれたことでもない。 ボスは関係ない。 だけど、今僕があたることができるのは、目の前にいるこの大きな女しかいないのだ。 「酷いじゃないかよ!」 僕がボスの肩を軽く叩くと、案の定、ボスの手が勢いよく僕に向かって飛んできた。 平手打ちか…叩くなら叩けよ…僕は…僕は… 歯をくいしばるとボスの手がそっと僕の耳に触れた。 「実はあたしも見えてたんだ。 彼女のこと。」 僕は目を見開いた。 次の瞬間僕はボスの手を両手に握りしめていた。 ボスは僕の手を払いのけることなく、片方の手も添えて強く握ってきた。
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