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キスをしたとき、僕は全てを思い出した。
僕はこの世界と別の世界で生きていて、別の世界から彼女を見ていた。
決して交わることのない二つの世界でたった二人だけお互いを見ることができた。
僕の思いが届いた時、僕の世界は溶けて、彼女と一緒になった。別の形で。
好きな人から兄妹に。
君を抱きしめて、もう一度キスをしよう。
兄妹から恋人に。
世界がまた溶けてしまう前に。
また君を失う前に。
この世界が決して溶けないように。
僕たちの想いが強いということをこの世界に証明するんだ。
彼女を強く抱きしめて、もう一度彼女にキスをしようとした時、世界が溶けはじめた。
彼女の唇の感触をもう一度感じることも出来ず、僕の両腕は行き場を失った。
溶けた世界の向こう側に、懐かしい世界が見えた。
後ろから懐かしい声が聞こえる。
「お帰り。」
懐かしい声と一緒に懐かしい感覚が僕の背中に伝わった。
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