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「何ボーっとしてるんだよ!」
後ろから突かれ振り返るとそこにはボスがいた。
「変な子か…僕らの席に変な子が座って…」
しかしもう一度席を見ると、そこにはもう誰もいなかった。
「は? 変なのはあんたでしょ?」
そうか。
変なのは僕で彼女は幽霊だったんだ。
そう考えると寒気がした。
次に彼女が現れたのは誰もいない教室だった。
廊下側の一番後ろに座って、何も書かれていない黒板を見ながらノートをとっていた。
僕は見てはならない存在をまた見てしまったことに恐怖で震えていた。
いや、まだ彼女が幽霊と確定した訳では無い。
足も腕もついているし、頭に輪っかも乗っていない。
それに血色だって。
真っ白な肌がほんのりピンクに色づいている。
髪は茶色くまるで小さな子供のように細くふんわりとしている様子で、真っ黒な瞳はピカピカと輝き、よく見るとなんて可愛らしいんだ。
まずい!
接近し過ぎた。
気づくと僕は彼女のすぐ側にいた。
幸い彼女は僕に気づいていないようだ。そっとその場を立ち去ろうとした瞬間、彼女の手が前に伸びた。
彼女は前方を見ながらにっこりと頷いた。
そして彼女の手に握られていた消しゴムが消えて無くなった。
「うわ!!」
人間、本当に驚くとコミカルに動くことができる。
僕はまるでコントのように勢いよく背後に仰け反り尻餅をついた。
彼女と目が合った。
ように感じてすぐ後ろから聞き覚えのある声がした。
「あんた! この前から一人で何してるんだよ!?」
振り返るとボスがいて、ボスの後ろから相方が覗きこんだ。
「顔…真っ青だよ。 大丈夫?」
視線を戻すともうそこに彼女はいなかった。
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