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彼女はまさかの場所に現れた。
僕の部屋のクローゼットの鏡の中に。
そこに写る彼女もまたこちらを見て凍りついてる?
いやこちらを見る彼女の目はとても優しい。
頭の中には様々な疑問が流れ込んだが、不思議と恐怖は無かった。
そして数ある疑問のうち僕が選んだのはこれだった。
「見えてますか?」
彼女は少し戸惑った様子だったが、僕の声は彼女に届き彼女は大きく頷いた。
「はじめまして。 僕は新田始(あらた はじめ)です。西大(にしだい)3年生です。」
こんなシュチュエーションで僕は何故流暢に自己紹介をしているんだろう。
「私は新田了(にった りょう)です。 西大(せいだい)2年生です。はじめましてじゃないけどね…」
「本当? 実は僕も2回…先週、君を見たんだ。」
「え? 2回だけ?
私は1年前から。 数えられない位。
あなたはいつも一人で、いつも誰かと話をしていた。
私が話しかけても聴こえていないようで、あなたが見えるのは私だけ。
はじめは悩んで心療内科に通ったりもしたけど、気がつくと私、あなたを見つけることが楽しみになっていて…
半年前の授業中、はじめてあなたと目が合って、でもすぐ消えちゃって…
まさかこうして話が出来るなんて思わなかった。」
彼女の頬がピンクに色づき、僕は鏡に手を伸ばした。
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