2章 僕の世界

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僕がどんなに強い決心を持っていても、それを実行することが困難な状況で彼女は現れる。 ここはラーメン屋で僕が今から飲み干す予定だったスープに彼女が映っている。 告白するには全くムードが無い。 しかもよりによって、ボスと相方に挟まれている。 しかし僕の気持ちは固い。 どんぶりに顔を押し付けて僕は彼女に囁いた。 「やあ、また会ったね! 1週間…とても長く感じたよ。 次に君に会えた時に絶対に伝えたかったことがあるんだ。 僕は君を愛している。 だから付き合って欲しい。」 僕の声でスープが波打ち、彼女の表情が分からないが恐らく僕の声は彼女に届いただ。 どんぶりの底から彼女の声が聞こえた。 「ありがとう。 私も同じ気持ち。 だけど、ごめんなさい。それは出来ないことなの。」 「どうして?」 「あなたと私は普通には会えないの。 どう頑張っても普通には会えない。 それにこうして会えるのも奇跡的な偶然で、いつこの奇跡が終わるのも分からない。 前に私があなたに会ったのは1週間前、だけど私があなたに最後に会ったのは1年前。 あなたと私の住む世界では時間軸までズレている。」 「探すよ。僕が君を見つけてみせるよ!」 「探せない。 あなたと私は違う世界に住んでいるから。 違うパラレルワールドに住む、ツインソウルだから! 残念だけど…1年前私もあなたと同じ気持ちで必死であなたを探したの。 そして答えを見つけた。 絶対にあなたは私を見つけることなんて出来ないの!」 「パラソル? ツインカム? 分からないけど、僕は絶対に君を探す! 鏡の中やどんぶりの中にじゃない! 君を探して絶対にこの腕に抱きしめてやるんだ!!」 気がつくと僕は立ち上がり、どんぶりに向かって叫んでいた。
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