疫 病

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落とした5円玉55枚を全て拾い上げた私達に参拝の時がやって来た 私はゴジラのように大量の5円玉を賽銭箱へ投げ入れた 小銭が賽銭箱の底へ「ガラガラ」と落ちて行った これは福引でもなければ蛇でもない  そして両手のしわとしわを合わせて「幸せ」と呟きながら目を閉じるのである すると娘から「カランカランするの忘れてるよ」とナイスな指摘を受けた 私は気を取り直し「カランカラン」と鳴らしたのだ そして神を深い眠りから起こすわけだ このように「遅刻するわよ!起きなさい!」と すると奥から「GO GO GO」という轟音と共に扉が開き仙人のような神が登場するのである 神は杖を持ちこちらへと向かって来る 少し怖い………… そして神は私の目の前に立った  神の吐息が私の顔にかかる「神様…これはちょっと近過ぎるのでは…………」 私から指摘を受けた神様は1歩下がり「最近目が悪くてな」と苦笑いした 「では お前の拝みごとは何だ?」と言いながら神様は杖で背中をポリポリとかいている 私はまだ拝みごとを決めておらずどうしようかと考えていた それにイラついていしまったのか神様は「何だお前はまだ決めてないのか!普通は待ち時間で決めておくもんだぞ」と神様に注意されたのだ 私は「5円玉を拾うのに夢中で考えていませんでした」と正直に答えたのだが… この正直な発言が誤解を呼び… 「貴様は何てヤツだ!賽銭箱の小銭を拾うとは!けしからん!このいかづちの杖でお前に天罰を―――」 「違います 神様!自分の落とした小銭を拾っていたんです!信じてください!」 この私の弁明を信用しない神様は懐からスマホを取り出して 今から5分前の出来事をスマホのアプリで確認し始めたのだ 
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