疫 病

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私の疑いが晴れた すなわち いかづちの刑にされずに済んだのである お互い気を取り直し  「最近は大した拝みごとがないからな こっちは楽でいいんだがな 」と鼻をほじりながら神様は言った  私は「どういうことですか?」とたずねると 「何だお前 俺に質問するのか?それがお前の拝みごとか?」 私は「違います!ただ興味がありまして…」  「お前は正直なやつだから答えてやろう 最近の(もん)は普通を望むやつが多いのだ それでいて難しい」 「難しい?神様でも難しいことがあるのですか」 私は余計な一言を言ってしまった 「お前やっぱり俺に喧嘩売ってるな?いいだろう このいかづちの杖でお前を―――」 私は即座に(ひざまず)き「違います 違います!お許しを!」と懇願した  すると神様は「中々律義な奴じゃ 教えてやろう 最近の者は普通に会社に入りたい 普通な収入が欲しい 普通の彼女が欲しいと言うのだ そして我がまま を言わないから普通を与えてくださいとも言うのだ お前この日本語を理解できるか?」神様でも不満というストレスが溜まっているようだ そこで私はストレスを抱える神様へリラックスして頂こうと思い 「その人が外人だったんじゃないんですか?」とジョークを言ったが 神様には通じず… 「やっぱりお前は俺に喧嘩売ってるな お前みたいな奴にはこのいかづちの杖で―――」 私は(こうべ)を地につけ「違います 違います!どうかお許しください!」と必死に謝罪をしたのだ        私の謝罪を受け入れて下さった神様は話を続けた
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