疫 病

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私は 賽銭箱へ 小銭を入れた 今度は ケチケチせず  持ち合わせている 小銭を 全て入れたのだ  これは 神様から頂いた 甘酒のお礼 である そして 「 カラン カラン 」 と 鳴らした だが 今回は 奥の扉は開かず 神様は現れない  きっと 各地の お寺や神社を 周っているのであろう 多忙な方だから 私は 目を閉じた そして 心の中で こう拝んだ 「 光田さんは すぐには 神様の友達には なりません    すいませんが 後 5 0 年 待って上げて下さい 」 あと 1 つ くらい 拝んでも 罰は当たらないと 思った 私は 「  私の家族は 伝染病に かかっていません 私はこのことに    深く感謝しています 」 ――― これは 新しい拝み方で 先に神様へ お礼を言うことで 既成事実を 作ってしまうのである しばらく 目を閉じて拝んでいると  私の顔に 吐息がかかって来るのだ この吐息の匂いは 甘酒である と言うことは 神様だ  どうやら 私の拝みことを 叶えてくれるみたいだ  光田さんは 今 8 0 才 あと 5 0 年 だから 1 3 0 才 まで 生きることになる きっと  あの 金の入れ歯が 役に立つはずだ  この世に 無駄なものは ないと言うことだ
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