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第一章「慟哭の和魂」
どうしてこんなことになってしまったのだろう?
どうして、こんな目に。
どうして、一番じゃないの。
どうして、置いて行かれるの。
どうして、一緒にいたかったのに。
仲良くしてほしかった。
頑張ったことが報われてほしかった。
大好きな人を失いたくなかった。
皆で一緒にいたかった。
特別なことは何一つない、ささやかな願い。
ただそれだけ。
ただ、幸せになりたかっただけなのに。
それすらも、神様は許してくれないのだろうか。
――そう、神は助けてはくれない。
――そう、神は助けてはくれないんだ。
え?
――勇気を出して踏み出さなくちゃ。
――願いは自分の力で勝ち取るものさ。
誰なの。
――あなたの本当の気持ちをぶつけてみて。
――君の本当の気持ちをぶつけてみるんだ。
でも……私なんか。
――大丈夫、きっと前に進める。
――大丈夫、きっと求めるものが手に入る。
それは……。
――あなたならできる。自分を信じて。
――できるさ。だって、君は悪くないんだから。
私は。
――踏み出して、その一歩を。
――そう、だから怖がらなくていいんだ。
私は。
――守るから。あなたの心を私が。
――もう、我慢しなくていいんだよ。
私は……。
――さあ、行こう。
――さあ、心を開いて。
――ミサキが、あなたを守るから。
――ミサキが、すべてを壊すから。
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