24人が本棚に入れています
本棚に追加
私の描いてた、ユウトとの将来。彼に似た可愛らしい息子とともに3人並んで歩く。真ん中に息子を挟んで、イチ、ニー、サーンの合図でジャンプをする。キャッキャと笑う息子の向こう側に愛するユウトの姿。息子を挟んで視線が合うと私の好きな目を細める笑顔。
永遠に続くと思っていた時間は急に終わりを告げた。
「余命宣告…ですか?」
「今の医療では治すことのできない病のため、何もすることができません」
淡々と話すその医者は、私と年齢の差をあまり感じられず同い年のように思えた。
「つまり、死ぬことは確かだけど、いつなのかは不明ってことですね?」
物分かりが良いふりをして私は返事をすると、医者は少し驚いた様子でそうですと答えたあと、もう一度言葉を選ぶように話し出す。
「大抵の方は、この話をすると取り乱して首元を掴んでこられたり、その場で泣き出す人もいます。でも、貴女は受け入れたように、私の言葉を理解した。何故ですか?」
「受け入れた訳ではないと思います。けど、それが私の人生なら受け入れるしかない。せんせーに言ったって、何も出来ないんでしょ?何も出来ないことは、せんせーの方が悔しいと思うから」
「そうか。ありがとう…。僕に出来ることは何もないが、体調の変化があればすぐに来るように」
はい。と返事をして診察室を後にした。病名はまだついてない。ただ分かっていることは、普通の人よりもかなり短い寿命ということ。
最初のコメントを投稿しよう!