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「ねぇ、話してくれる?」
「嫌よ。絶対、話さない。」
「どうしても?」
その問いに、返事をする前に私は彼の肩を押し戻した。反対側からくる車のスポットライトにユウトの顔が照らされた。
真剣で、いつもみたいにふざけてない。本気の顔のユウトに私は言葉を失った。思い浮かべてた言葉を言えなくなったのかもしれない。
「俺は、君が一番好きだよ。これからもずっと」
「…私も、ユウトが一番に好きだよ。」
頬に流れた一粒の涙を親指で拭ったユウトは、私の頬を両手で包み込んだ。
「ちゃんと、理由教えてくれるよね?」
それには、私は首を横に振った。
「ユウトは、本当に私には勿体ないくらい良い男だよ。…さよなら」
そう言って、私は車を降りた。歩いて帰るには少し遠いけど帰れない距離ではない。ゆっくりと、しっかりと私は歩みを進めた。
(私を愛してくれてありがとう…さよなら)
(最後まで一緒にいさせてくれないんだな…さよなら)
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