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「俺は、ただハナとこれからもずっと一緒に居たいだけだ。そこにお前に似た娘がいるともっと嬉しいけど、だけどそれは授かり物だ。無理強いするつもりはない」
「私はずっと隠してきたことがある。それをいまここで伝えるつもりもないし、これからも伝えない。ほんの遊びのつもりだったのに、貴方が本気になるからとうとうここまでズルズルきちゃったわ」
やれやれというような表情でそういったハナは遠くにある灯台を見つめてから、俺に視線を戻してその瞳に俺を映した。
「隠してたこと?なんだよそれ、言わないと何も変わらないだろ?いえば変わるかもしれないじゃないか」
不意に大きくなった声に、ハナは肩を上下にピクリと動かした。その仕草にごめんと間髪入れずに謝罪をすると、そう言うところだよとまるで小鳥が喉をつぶしたようなか細い声で囁いた。
「優しすぎるんだよ。貴方は、もっと自己中になっていいのに。それが私には辛いんだよ」
そっと視線を落として、ハナの瞳から俺が消えた。別れを告げられているのだろうか。もしそうならもっと、単刀直入にキライだと言えばいいのに。そう言わないのは、ハナが今までの女と違うことを指していることと同じだ。俺はあの手を離したくない。そう思えたのはハナが初めてだった。
「俺の悪い所があるなら直す。だから、これからも側にいて欲しい」
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