本気だったのに……。

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本気だったのに……。

そんなこんなで迎えたバレンタインデーのお昼休み。 私は手作りのブラウニーと、2人分のお弁当を持って佐々木さんの事務所を訪ねた。 市役所からは徒歩3分。 お天気も良くて、思わずスキップしてしまいそう。 もうすぐ、佐々木さんに会えちゃう♡ お弁当、喜んで貰えるかな? 『加奈子、ありがとう。 お弁当もブラウニーも美味しいよ。 でも僕はブラウニーより甘い君を。 ……そう、君を早く食べてしまいたいんだ(少し顔を赤らめる)』 『(嬉しくて仕方がない癖に)ヤダ、佐々木さん。それは夜のお楽しみ♡』 『(切ない瞳で私を見つめながら)そんな、夜までなんて我慢出来ないよ。さぁ、こっちに来て!』 『(ちょっとだけ拒む振りをしつつ)ヤダ、恥ずかしい。佐々木さん。でも、加奈子、行っちゃう! 気が狂うくらい、激しくして! ああん!』 なんて妄想で頭を一杯にして、事務所のドアを開けたのに。 私がそこで聞いたのは……。 愛を営んでいるのであろう、男女の乱れた声とギシギシと何かが軋む音。 そっとドアを閉めた後、心のドアも閉めましたとも(T_T) そりゃ、あんなにカッコイイんだもん。 彼女とか奥さん居るかもとは思ったけど。 事務所で、しかも真っ昼間とか。 ううう、始まって1週間なのに。 もう失恋してしまった。
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