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……何? まさか、『次のターゲット? そんなの俺にしろよ』とか、言ったりして。
って、んな訳あるか!
とか、都合のいい妄想にセルフツッコミを入れてると、突然、思い掛けない提案を受けた。
「あ、あのですね。その渾身の弁当、ウチで売ってみませんか?」
「えっ?」
「盛り付けといい、味といい。素人にしとくの、勿体無いと思うんです。
絶対売れる。俺が保証します。
あ、でも。今着てるのって、市役所の制服ですよね?
それなら最初は休日だけのバイトって事でどうでしょうか?」
ニコニコ笑いながら言うイケメンを前に私は考え込んだ。
うーん、土日は空いてるけど……。休みが無いとか、しんどいなぁ。
そんな心情が見え隠れしたのか、イケメンが更なる提案をしてくる。
「とりあえず、土曜日の午前中だけとか、どうです?
実はその時間、割と暇なんで商品開発の時間に充ててるんです」
「商品開発?」
「ああ、えっと。実はあの店、俺が経営してるんですよ。
今の所、従業員は俺1人だけど」
「えええ! 凄い!!」
「そんな訳なんで、新作のアイディアとか一緒に考えて貰えると嬉しいなぁって。
バイト代はあんまり出せないけど。
取り敢えず、今週末、お試しで来てみませんか?」
「うーん……。そうですね。それなら」
と、気が付いたら、次の週末、お弁当屋さんに行く事になっていた。
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