大枚叩いて(T_T)

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「んまぁ!! どうしたの! その顔!!」 頬の大きなガーゼを見た、隣の席のお局が目を丸くした。 ……分かってる。 ここで本当の事を言っちゃうと、給湯室でのネタになる事くらい。 でも言わずには居られない。結局1から10まで全て愚痴ってしまった。 するとお局は、さも同情した風な顔をする。 そして意外な事を言い出した。 「山崎さんさぁ。ダメ元で弁護士に相談してみたら? 実は明日、市の無料法律相談会があるのよ。 まだ枠が余ってたから予約しといてあげるわ。 優しいおじいちゃん先生だし、癒やされるわよ」 「え、弁護士?」 「そうよぅ。相談してみなさいよ」 ……考えてもみなかった。 そうだ。騒ぐ前に弁護士に相談したら良いかも。 「ありがとうございます」 「ふふふ、気にしないで。早く治ると良いわね、その顔」 優しい言葉にホロリと来たのに。 後で給湯室の横を通ったら、 「ほんとバカよねー! 30万ですって! それで、アザまで作ってさぁ」 と嬉しそうに捲し立てるお局の声。 ううう、そうですよね。 私の惨事、格好のネタですよね。 でも、30万じゃなくて、30万9千円(税別)ですから! シクシク泣きながら家に帰った。 家では夏鈴と母が慰めてくれる。 身内の優しさが沁みるわ(T_T)
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