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「修司ー!!ほらぁー!!ちゃんと球見てーー!!」
梅雨が明けてジリジリと日差しが強くなってきた夏の初め。今日は、去年のちょうど同じ時期に、試合をしてボロ負けしたチームとの試合。
ベンチの日陰でスコアを書きながら、試合の行方を見守る。
そして、私の隣で大きな声で声援を送るのは…
修司の彼女、麗さん。
「あー!もう、全然タイミング合ってないじゃんっ!……修司って、ヘタだよね、野球。」
そう言って笑いかける麗さんに、否定とも肯定とも取れない笑みを返す。
野球の練習や飲み会に参加する様になって2ヶ月弱が過ぎた。
久しぶりに練習に顔を出す時は、さすがに緊張で胸がはち切れそうだったけど、会社まで車で迎えに来てくれたナオくんと一緒に野球場へ行くと、美結ちゃん待ってたよ!久しぶり!と、以前と変わらないノリと笑顔で迎えてくれたみんなに、心が救われた。
修司も、美結、久しぶり…とはにかんで、良かった、また来てくれて。と笑ってくれた。
修司もみんなも、本当に優しくて温かくて…
また、泣きそうになった私に、ナオくんはいつもの柔らかい笑顔を向けてポンポンっと背中を優しく叩いてくれた。
その後の飲み会では、杏ちゃんと真帆ちゃんとも久しぶりの再開。
2人は、美結ちゃん、会いたかったー!!待ってたよ!と、抱きしめてくれて…
そ心の広さに、また、泣きそうになった。
1ヶ月ほど前、練習後の飲み会の席で、修司に、彼女ができたと聞いたときは、すごくホッとして、心の底から嬉しかった。
何でも、4月から異動で同じ課に来た麗さんからの猛烈アタックでお付き合いが始まったとか。
私達より2つ年上の麗さん、私も今日初めて会ったのだけど…
とても、明るくてサバサバっとした、裏表のなさそうな印象の…素敵な人だ。
朝、修司と一緒に野球場に現れて、つかつかと一直線に私の方へ向かってきた麗さんに、一瞬怯んで一歩後ずさりしたものの…
「あなたが美結ちゃんっ?初めまして!修司を振ってくれてありがとう!!」
と言われた時には、唖然として固まってしまった。
修司曰く、後で何かのきっかけで知るよりは…と、元カノがいることも、今はその元カノが自分の友達と付き合っているという事も、全部包み隠さず話した、との事。
試合に呼んだと聞いたときは、気まずい思いをするかもしれない…なんて思っていたけど、その不安はあっさりと打ち消された。
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