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「なに、女子だけでコソコソしてんのー?」
「どわっ…しゅ、修司、何でもないよー、ハハッ」
「うんうん、今、麗さんの方から修司にアプローチしたって話を聞いてたんだよー」
杏ちゃんと真帆ちゃんが慌てて取り繕う。
「あぁ…そうそう、最初はね、揶揄われてるんだと思ってたんだけどさ…」
そう言って、少しはにかみながら、修司が麗さんの隣にアウトドアチェアを持ってきて座った。
そこへ、ナオもアツアツのアヒージョを手に、こちらへ来て、テーブルにそれを置くと、私の隣に腰をおろす。
「俺、正直まだ…次の恋愛って気にもなれなかったし…」
そう言ってチラッと私に目線を送った修司は、隣の麗さんに視線を移し、
「でも、絶対私と付き合ったら楽しいから!絶対好きにさせるからって…それはもう、毎日のように、メッセージとか電話はくるし、昼休憩も、一緒に食べようってお弁当作ってきてくれて…仕事終わりとか、休みの日とかも、会いたい、どこか行こう、美味しいもの食べに行こうって…」
「フフッ…ストーカーみたいでしょ。」
麗さんはあっけらかんとそう言ってニコッと笑った。
「でも…それが、パタリ、と、急に…なくなったんだ。ある日突然。そしたら…なんか、すげー物足りなくて…俺、何かしたかな?他に好きな人できたのかな?とか、気になって仕方なくて…あー、俺、好きなのかも…って思ったんだよね。」
そう言って照れくさそうに笑う修司を見て、麗さんは満足そうに頷くと
「私の作戦に、まんまと引っかかったってわけ。ホント、修司が単純でよかったぁ~!」
そう言ってアハハと大きな口を開けて笑った。
そんな麗さんを優しい目で見つめる修司を見て、良かった…本当に。修司に、いい人が現れて…ホントに良かった。って心の底からそう思った。
ふと隣を見ると、ナオも目を細めて、すごく嬉しそうに、微笑んでいた。
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