スウィートタイム

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「もぉ。細かいことなんて考えなくていいから。とっととサキュバスちゃんのえじきになるがいいさー!」  みるみるうちに悪魔は近づいてきて、あっという間に馬乗りで僕の上に跨る。マウントを取られた僕は抵抗する間も無く口を塞がれた。  口内に広がるカカオと砂糖の味。ミルクが口当たりを柔らかくし、その甘味につい気が緩んでしまう。  口の中に入れられたのはどうやら悪魔の指のようだ。彼女が言っていた通り、その体はチョコレートでできているらしい。市販のチョコレートか、それ以上に美味しい。 「はにふふんふぁ(なにするんだぁ)!」 「どう? とっても美味しいでしょ、アタシのカ・ラ・ダ♪」  唄うように嬉しがる悪魔。魔の手から逃れようと体を動かす。しかし、どうにも力が入らない。せめて抵抗の意思を示そうと、悪魔を睨みつける。すると、彼女はいやらしく笑みを浮かべる。 「もう逃げられないんだから。アタシの体を口にした人はたちまち虜になってしまうの」  悪魔は手持ち無沙汰な方の手で僕の顔を撫でる。滑らかな指で、執拗に。やがて、その動きが顎の辺りで止まる。 「さっきも言ったけど、サキュバスちゃんの体はチョコでできてるの。食べても大丈夫なお菓子のチョコだよ。だから」     
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