4415人が本棚に入れています
本棚に追加
入学式を終えてしまえば、在校生はその日の午後は自由時間となる。
昼食時なこともあって、食堂は在校生でにぎわっていた。
新入生の入寮もすでに完了し、食堂には若干緊張した様子の初々しい新入生の姿がちらほらと見える。
様々な視線をこちらから逸らしてくれた俺の親衛隊隊長と目があったため、お礼の意も込めて笑顔を向ければ、洸がまた説教を始めた。
おいおい。
食堂でする話でもないだろ。
「それは貴方が!」
まぁまぁ、と笑顔で軽く彼の怒りを収めてから、注文のためにタブレットを手にすれば、それはスッと取り上げらえてしまった。
「?」
取り上げられた先を見れば、不機嫌顔の洸がタブレットを睨みつけていた。
「貴方にやらせるとまた栄養のない変なモノばかり頼むので」
栄養のない変なモノって。
変なモノなんて高校の食堂で出してないだろ。
とは言え、この状態の洸に逆らおうとも思わない。
彼が俺の分まで頼んでくれるらしいし。
このまま大人しく任せようではないか。
足を組み注文を終えるのを頬杖をついて待っていると、俺の前に座っている瑠衣がニヤニヤと俺を見てきた。
なんなんだ。
「ん~~~?いやぁ~、夫婦みたいだな~~~って」
そんなことを言う瑠衣を無視してそのまま洸を見る。
一体何を頼んでるんだろう。
「そんなに見ないで下さい」
ほんの少しムスッとした洸がチラッとこちらを見て言う。
じゃぁ何をしてろと?
仕方なくポケットにしまっておいたスマホを手に取り画面を開く。
するとそこにはちょうどメッセージアプリの通知が届いていた。
最初のコメントを投稿しよう!