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入学式を終えた俺たちは、一般生徒たちよりも一足先に体育館を出て、ここ、生徒会室へと来ていた。
壇上で笑顔を振りまいていた洸も、今では俺の前に仁王立ちをし、その笑顔を引っ込めてしまっている。
「貴方は、一体、何をしていたんです!?」
あぁ、その件ね。
「迷っていた新入生を体育館に……」
「後から入ってきた生徒はいませんでした。入学式に遅れてくる新入生などいるわけないでしょう」
なんだ、よく見てるな。
「サボっていた在校生を……」
「ランキング上位者が揃う貴重な機会で、在校生がサボるわけないでしょう」
いや、それは自意識過剰だと思う。
興味のない生徒もきっといるぞ。
「もともと私が在校生代表の挨拶だったからよかったものの」
いや、だから、行かなくても大丈夫かなぁと……
「そもそも、1人でウロウロとするなとあれほど言っていますよね。貴方に注意をしてもう何年たつと思っているんですか!?わかってないんですか!自分の影響力を!」
「いや、だから、俺男に興味ないからさ」
「貴方に興味がなくても、この学園の生徒は興味があるんです!」
「洸ちゃん先輩、そんなに怒らなくてもー」
「庵先輩、困ってる」
そこで黙って見ていた双子から助け舟が。
「貴方たちは黙っててください。これは庵のために」
「洸くんは、庵くんの事が、すご〜〜〜く、心配なんだよね~~~!だ~~~い好きだから」
瑠衣のお茶らけた言葉で硬直する洸。
え、マジ?
「なに言ってるんですか、貴方は!」
お、怒りの矛先が瑠衣に。
「俺はいいと思うけどな~~~。ノンケ好きになったってさ、落とせばいいんだから~~~。むしろ、ノンケの方が俺得、的な?」
ニヤッと笑う瑠衣に、呆れ顔を向ける洸。
そんな洸を弄って遊んでいた瑠衣の視線がこちらに向いたことに、俺は嫌な予感を感じていた。
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