第3話 スポーツ大会編

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大会の2週間前にもなると、体育の授業だけでなく、昼休みや放課後にまで練習の時間となる。 役員であってもそれは同じ。 洸に言わせると、 「今はクラスに混ざって練習をするのが、我々の仕事です」 らしい。 「クラスサービスだね〜〜!」 瑠衣の見解はどことなくズレている気がするが、気にしたら負けだ。 後輩たちも例に漏れずクラスの練習に参加している。 かくいう俺も、同じ種目であるクラス委員長に強制連行され、練習会場に来ているのだが。 「お前のファンども、どうにかしてこい」 周りが煩くて集中できないと、俺の背中を押すのは、俺に対して舌打ちをし、俺をここまで連行してきた男。 親衛隊からしたら、クラス委員長ごときがーーー、なんて思うのがこの学園では普通なのかもしれないが、彼は別。 なぜなら、彼は学園外に女の恋人がいるから。 そう、彼は数少ない俺の同類、ノーマルなのである。 学園の誰もが知っているだけあって、彼が俺に触れようが、親しくしようが、親衛隊にとっての嫉妬の対象にはならない。 言うなれば、友人枠。 以前は俺のことも敬遠するように遠巻きに見ていたが、今では先程の通り友人認定されている。 それもこれも、去年のこのスポーツ大会がきっかけであるのだが、今は置いておこう。 友人に背中を押され、邪魔だと言われれば、最善を尽くすしかない。 仕方なく俺は重い足を野次馬の方へ向けた。
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