第3話 スポーツ大会編

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が、一歩そちらへと向いた足は辿り着く前に歩を緩める。 「練習の迷惑ですよ」 冷たく言い放ったその言葉に逆らう者などいはしない。 モーゼの如く道が開かれ、向こうから彼が歩いてきた。 いや、わかってはいたけど。 「庵様、お勤めご苦労様です」 別にお勤めをした覚えはないのだが、そこに突っ込んだところで適切な答えが返ってくるわけでもない。 「練習はもうお終いですか?」 「ちょっと注意をね」 彼に言われて、とクラス委員長を見れば、メガネの奥の鋭い目が委員長を捉えた。 どうやら、彼の中での委員長と俺の関係の捉え方は他とは違うようである。 そういう彼は何故ここに来たのだろう。 制服で来るだなんて、練習をしに来たわけではないだろう。 「野次馬が貴方にご迷惑をお掛けしていないかと思いまして」 それはそれは。 親衛隊というのも色々気を使わなくてはならないようで…… 大変だね。 そこら辺、彼は抜け目ないからな。 彼が来たことで、野次馬が早速さといなくなったのは確かだ。 「練習を見学しても?」 そう言われてしまえば、否は言えない。 野次馬どもを散らしてくれた恩もあるし。 減るもんでもないから良しとするか。 練習を再開した俺らを眺める彼は、一体何を考えながらその様子を観察していたのだろう。 練習の度に行われるその行為の意味がわからないまま、スポーツ大会は当日を迎えた。
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