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(Side:生徒A)
「ここに、スポーツ大会の開催を、宣言します」
些か盛り上がりに欠ける開会式をその他大勢のモブたちと共に見守る。
役員の皆様が壇上に上がられることのないこの催しに興味がある人間は恐らく皆無。
皆、この後の大会自体に気が向いてしまっているのだ。
開会式が終われば、思い思いに移動を開始する。
自分の競技に向かう者、クラスの応援に向かう者、人気者の観戦に向かう者。
もちろん自分は3番目でございまする。
数日前に渡されたプログラムと参加者名簿を参考に見たい種目や時間は決めてある。
とりあえず第1試合はバスケかな。
【会長親衛隊長率いる3年A組】
VS
【転入生率いる1年S組】
王様の取り合いとかにならないかな〜〜〜、とか。
嫉妬で険悪な雰囲気がぶつかり合わないかな〜〜〜、とか。
妄想を美味しく頂いているのである。
あぁ、尊い……
そこに会長様がいらしたらなおよし!
まぁ、それは期待できまい。
きっと彼は今自分の競技の準備をしているだろうから。
ザワッと会場の空気が揺れ、そろそろ試合が始まるのだとコートを見る。
3面ある中の真ん中のコート。
向かい合った転入生と会長様の親衛隊隊長がバチバチと火花を散らしている。
無言の睨み合いはプレイボールと共に、ボールの取り合いへと発展。
転入生には隊長が、隊長には転入生が。
もうライバル心剥き出しではないですか!
けしからん、もっとやれ!
取って取られての応酬。
点数でも競っているかのように、転入生と隊長にボールが集まり、シュートを打っていく。
彼らへの歓声がボルテージを上げ、最高潮へと達する。
32-30、3-A優勢のまま残り30秒。
ボールを持つのは転入生。
ディフェンスにつく隊長。
ゴール下まで続く緊迫した攻防に、歓声が一瞬止まった。
ブーーーー、という音と共に再び上がる歓声。
その先で手を挙げ、ハイタッチをしていたのは、首元で汗を拭う転入生。
ハラチラ頂きました!
もちろんシャッターも押しました。
これ、いくらで売れるかな、なんて考える間も無く、次の競技観戦へと向かった。
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