第3話 スポーツ大会編

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(Side:工藤) スポーツ大会など、別に楽しみにしていたわけではない。 自分の競技など適当にやって、早々に負けて。 庵様の応援にでも徹しようと思っていた。 毎年そうしていたから。 大勢いる観戦客の1人になどなってたまるか、と。 でも、今年は違った。 対戦相手になど興味はなかった。 だから、見てなかったというのもある。 自分の中心は常に彼で。 彼の出る競技とその試合時間にしか興味などない。 コートで対面して知る。 今回の相手が誰なのかを。 そして睨まれて気づく対抗心。 『あんたには負けない』 言葉は聞こえないのに、そう言われている気がして睨み返してやる。 『やれるもんなら』 そんな気持ちも込めて。 生憎バスケは得意分野。 「勝ったら俺が庵くんにアプローチするの認めてくださいね、隊長さん」 ジャンプボール間際、スッとやってきた彼がボソッと囁く。 その顔があまりにも自信に満ち溢れていて。 つい、否定を忘れ睨みを強くしてしまった。 大丈夫、勝てばいい。 この時はそう思っていた。
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