第3話 スポーツ大会編

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(Side:柊二) 副会長属する3年S組の試合が始まると、次第に人が増えてきた。 庵くんの試合を見ていた連中が流れてきたのだろう。 確かに3年S組は強い。 5人全員の動きが良く、バランスも上手くとれているのだ。 副会長も例のごとく歓声を集めている。 試合の歓声とは違う騒めきが入り口の方からしたかと思えば、体育館の温度が一気に上昇した。 何事かとそちらに目をやれば、なんとなく想像していた通りの現象が。 誰よりも視線を集めていらっしゃる我が従兄弟様。 本当、目立ちすぎ。 「会長様の袴姿…///」 「ステキ〜〜〜っ///」 「写真、写真!」 試合に勝ってそのまま来たのだろう。 よりによって袴姿を晒す必要はないと思う。 隣にはこれまた袴姿の見知らぬ男。 何、またライバル? 試合そっちのけで庵くんの隣に並ぶ男を睨みつけていれば、試合を見ていたらしいバスケ少年に頭を叩かれた。 痛い。 「だから、そんな睨むなって。あの人は3Sの委員長。外に彼女がいる、会長と同じノーマルだ」 ふーん。 だから陰口が聞こえないわけね。 でもさ、ノーマルだからって油断しちゃダメじゃね? そんなのは、所詮今までの恋愛歴。 何かの拍子に庵くんにベクトルが向くこともあり得なくはない。 人は、いつ、どのタイミングで、誰を好きになるかなんてわからない。 でしょ、庵くん…… 「んなことより、ちゃんと試合見ろ。いずれ当たるぞ、3S」 観戦席とは別空間のように繰り広げられる試合に目をやる。 きっと庵くんは彼らを応援に来たのだろう。 当たると言っても、俺らが3Sと当たるのは決勝。 もちろん、そこまで残るつもりではいるが。 俺らと3Sが対戦したら、俺のことも応援してくれるかな? 試合を終え、ハイタッチする3Sのメンバーに笑顔で手を挙げる庵くんを見ながら、嫉妬する気持ちを抑えられずにいた。
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