4392人が本棚に入れています
本棚に追加
(Side:生徒A)
なんたる幸せ!
きっと誰もがそう思っているのだろう。
主催が生徒会ではないこの行事で、役員の方々が前に出る機会などそうそうない。
しかし。
今回は違った。
「それでは、各種目の優勝クラスは代表1名壇上へお上りください」
司会の生徒がそう言えば、少しの騒めきの後、大歓声が体育館に響いた。
左から、副会長、会長、風紀委員長。
結果は知っていたものの。
まさかこの表彰に彼らが揃うとは誰も思わないだろう。
隣に並んでいる他の競技の優勝クラスが霞んでしまい可哀想だ。
そのまま美味しい展開にならないかな〜〜
なんて考えていると、ブルッとポケットにしまっておいたスマホが震えた。
この短さはLI●Eか。
なんだ、一瞬たりとも目を離せないというこの忙しい時に。
後にしようと壇上に注目していれば、またスマホが震えた。
しかも1度や2度じゃない。
連続して数回はただ事じゃない、かな?
そう思い、チラッと覗いたスマホに表示される名前に、何事かと中を確認する。
『なんたる幸せ!』
『みんなの注目は壇上』
『だがしかし』
『近場に発見』
短文なのは、こちらに気づかせるためか。
はたまた、バレないためか。
そのどちらもだとは思うが。
何を発見したのかとスクロールしていけば、そこには画像が1枚。
角度的には盗撮だけど。
画像の後にも文は続く。
『嫉妬心MAX』
『会長様尊い』
そこに写るのは、無表情……
いや、嫉妬丸出しで壇上を見つめる転入生。
腐レンドよ、GOOD JOB!
壇上での絡みを期待するよりも良いものが観れたかもしれない。
口元をニヤつかせながら、壇上へ視線を戻した。
最初のコメントを投稿しよう!