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(Side:柊二)
結局バスケの決勝に庵くんは来なかった。
いや、ね。
自分の決勝があるから仕方ないとは思うよ。
思うけどさ。
早く終わったなら応援来てくれても良くない!?
なんでサッカーなのさ!
ま、そんな文句さえ彼との貴重な会話のキッカケになるだろうと思ってしまうあたり、相当キていると自覚はしている。
壇上に上がる優勝クラスの代表を眺めながら思う。
ウチが勝ってれば、あそこには俺が……
庵くんの隣に……
確かに、3Sは他とは比べ物にならない程強かった。
俺はもちろん副会長のマークについたのだが。
難なく交されたし。
彼にボールが渡るたびに上がる歓声がこれまた苛立ちを助長したのは間違いない。
あの苛立ちがなければ、もっと正確にシュートができただろうに。
なんて、誰かのせいにしたところで負けは負け。
わかってはいるのだが。
表彰を終えた彼らが振り向いて更に上がる歓声。
学園のトップ3が肩を並べて賞状をクラスへと掲げる。
自分よりも近くにいる存在に嫉妬しないわけがない。
埋められない年の差。
同じクラスであることを羨んだところで、どうすることもできない。
自分の知らない彼を誰かが知っているのだと思うと、嫉妬で狂いそうになる。
閉じ込めたくなる。
誰も彼を見ないように。
俺以外が知ってる君など存在しないように。
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