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「俺は、負けたのか。この俺が・・・。これでは、あのお方に顔向けができない。イヤ、殺される。イヤだあ~。」
一木山高校柔道部の主将が苦悶の表情を浮かべ、ヨロヨロと立ち上がる。頭を抱え苦しそうなので、見ている観客はちょっとだけ同情したが、それは恐怖心と化した。
全身が一回り大きくなり、頭から二本の角が生えたからだ。
瞳は赤色に輝き、口にはライオンみたいな牙が生えている。
他の柔道部員四人もシンクロしたのか、変化(へんげ)はしないものの
精神に異常をきたした。
「きやあ~」「うわあ~」「助けて。鬼よ。」
確かに、鬼だ。御伽話や昔話によく出てくる鬼を実際に目の前で見たもんだから、無理もない。どす黒い禍々しい気に気分が悪くなりながらも、会場の出口へと殺到する。
凶暴な鬼たちは、国善高校柔道部員に襲い掛かった。
「やめろ。」
顧問の近藤先生は、必死に止めようとするが、あっさり、鬼の一匹に顔を殴られ、床に倒れた。
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