デートは武道館で(転の章の始まり)

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「しつこい。」  陳 桃陽は、剄の効いた蹴りを男の大事な急所にぶち込んだ。 「ソレハ アカンヤロ・・・」  鬼はたまらず悶絶する。 「五月蠅い。」  陳 桃陽は、お札を額に張り付けた。  最後の鬼は完全に動きを止めたが、不思議なことに人間体に戻らない。 「ここかっ。」  太極拳の必殺技、双風貫耳のように、両手でコメカミを挟み込むように打つ。 グエエエ~  悶え苦しみながら、口から何かを吐き出すではないか。  見たこともない気味の悪い大きな寄生虫・・・・・。  やっと、元の人間体へと変化する。 「もらいっと。」  あろうことか、陳 桃陽は、その寄生虫をひょいと掴み、自分の口に中に放り込んで、モグモグ食べている。  横で見ていた僕は完全にひいた。絶対に、こいつとはキスをしないと心に固く誓った。  二階で見ていたキラちゃんは気分が悪くなったが、当の本人はそんなの200%気にしていない。 「これ、意外と美味しいし、力も気もつくよ。今度、おまえも喰ってみればいい。」 「遠慮しておきます。それより、救急車を。」 「そーだね。」  こうして、何とか無事に終わったが、これで終わりではなかった。  始まりだったんだな。
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