デートは武道館で(転の章の始まり)

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ピ~  アップの時間が終わり、両チームがコートの真ん中に整列した。  主審が笛を吹いて、試合が始まった。  試合は一方的に終わるかと思いきや、朱雀高校は喰らい付いた。  第一ピリオド10対2。負けてはいるものの、ロースコアーに抑えた。  相手の二木川高校はあくまで無表情だったらしい。  第二ピリオドで、23対20と詰め寄る。相手は個人プレーが多く、 シュート率が悪いので、その隙を付く。全員が一致団結して、戦う。  ハーフタイムは両チーム対照的であった。二木川高校は、無表情に ベンチに座り、各個人が一言もしゃべらない。  対する朱雀高校は、キャプテンの元に全員が集合し、作戦板で頭を突き合わせる。  本当はベンチに座りたいほど疲れているが、最後の最後まであきらめない。みんなで、色々と作戦を練る。こんな楽しい女子会はないとばかりに、ベンチ入りのメンバーも一緒だ。チーム全員、瞳が輝いている。  女子高校生特有の熱い燃えるようなオーラは、眩しいかぎりだ。  ズブの素人でルールも覚えられない大学を出たばかりの男の監督は、 黙って見守るしかできない。  奏絵さんも、可愛い孫たちを見るかのように優しい眼差しであった。  第三ピリオドで、36対36。とうとう、ついに、やっと追いついた。  この頃になると、相手の二木川高校にイヤな空気が漂い始める。  口には出さないがお互いを責め合っている、冷たい視線で睨み合う。 「これです。私が見てほしかったのわ。体が大きく力が強い者が勝つのは 当たり前。体が小さくても力が弱くても相手に勝つのが武術。スポーツも 同じだと私は思っていました。いかがかしら。」 「確かに、その通りじゃ。」  熱く語る奏絵さんに、祖父は頷く。
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