歓迎してくれた妖怪たち(結の章の始まり)

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「八時だよ。全員集合。」  昭和生まれの祖父の照れながらの掛け声に、奏絵さんはさも可笑しそうに笑っているが、僕たち平成生まれの平成育ちには訳わかめだ。  とにかく、決戦の日が、時間がやって来た。  僕たちは土御門高校の正門の中に入り、鞄を降ろし、戦闘準備を 整えた。頭には鎖が入った頭巾、手甲、銅、拗ね当てに、そして懐やらに武器を忍ばせている。こんな格好で、電車、バスには乗れないし、道路を歩けない。ハロウインの時期ならまだしも、絶対に警察に捕まる。  その時であった。僕たちの頭上の暗闇に、大きな清廉 珠美が姿を現わした。 「よく来たね。その勇気だけは、褒めてあげる。私は、学校の裏の殺生石の置かれている場所で、待っているからね。折角、来てくれたんだから、歓迎の用意はしているよ。気に入ってくれたら嬉しいんだけど、全滅しないでね。私の所まで、一人くらいは来て欲しいな。できれば、早い時間で。じゃあね。」  そう言って、頭上の暗闇に浮んでいた清廉 珠美は消えた。
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