歓迎してくれた妖怪たち(結の章の始まり)

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 一番先にビビるであろうはずの龍美は、「あれは、妖怪じゃない。なかなかよくできた立体映像だ。」「あれは、妖怪じゃない。なかなかよくできた立体映像だ。」って、何回も繰り返し自分に言い聞かせていた。  発想の転換というか、自己暗示か。なるほどな。 「さあ、みんな、気合を入れろ。根性みせろや。」  そして、落ち着いた龍美の掛け声に、「おう!」と全員が声を揃えて応じる。  八人のにわか仕込みの退魔師が正門の中に入り、10mほど進んだところの自転車置き場で待ち構えていた者は、自転車に乗った大きな黒猫だった。学生服を着ており、二又の尻尾をくねくねと揺らしている。 「猫又だ。気をつけろ。」  陳 桃陽が叫んだ。  猫又は、20年以上生き永らえた猫が変化したもので、体はライオンや 豹ほどの大きさになり、人間に化けることもできる。  二本足で歩き、人語を話すなど、高い知能を持っているものもある。 「そう、猫又だよ。僕と遊ぼうか。」  そう言って、自転車に乗って猛スピードで僕たちにぶつかって来た。  僕たちは、蜘蛛の子を散らすかのように、逃げる。悪夢だ。 「ほれほれ。アハハ。」  龍美と三四郎君が、何故か遊び相手に選ばれた。残りの六人は、 「後は、宜しく。」って、先を急いだ。  そしたら、学校の池から大きな河童が現れ、僕たちの行く手を遮る。 「自分と遊んでくれるのは、誰かな。」  僕たち六人は、顔を見合わせる。 「河童は、相撲が得意だったはずじゃ。」  祖父の声に、武と陳 桃陽が名乗りを挙げた。 「相撲は日本の国技、骨法の相手に不足なし。」 「キャア~、河童って初めて見た。私、行司やりたい。」  そういうことなので、僕たち4人は、先を急ぐ。  殺生石らしいものが見えたところまで、辿り着いた。
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