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「待ちかねたよ。さあ、遊びましょう。」
声のする方を見上げると、木の枝に、一匹の大天狗が座っていた。腰に、剣を差している。
「ワシが、お相手しよう。」「それでは、私も。」
祖父と奏絵さんが大天狗と闘うこととなったので、僕とキラちゃんが先を急ぐと、今度は、壁からヒョッコリと普通の女子高生、制服姿のかなりキレイな女の子が僕たちを迎えてくれた。
ほっとしたのもつかの間、下半身は大きな蛇であった。
当然、足はない。
「ねえ、これって何ていう妖怪。」
「さあ、僕もわからない。濡れ女でもないし、蛇女でもないよね。」
「君、よく知ってるね。よく、間違えられるんだ。ラミアーだよ。」
かなりキレイなラミアーは、ニコリと微笑む。セクシーだな。
「ラミアーは、元々は人間の女性だったんだけど、その美貌でゼウスに
見初められたんだよ。結果、ゼウスの妻ヘーラーの怒りを買い、ゼウスとの間に産まれた子供を全て失い、その悲痛から容姿は獣のように変りはて、他人の子を捕らえて殺すようになった。嫉妬深いヘーラーの報復はそれにとどまらず、ラミアーから眠りさえも奪い、子供を失った悲しみから常に逃れられないようにしたんだね。そこでゼウスは彼女が休めるよう、目を取り外せるようにしてくれた。ほら、こんな風に。」
ラミアーが親切丁寧に説明した後、片目を一つ外してみせてくれたもの
だから、キラちゃんがたまらず気絶した。
僕だって正直気絶しそうになったけど、そうは言っておれず、キラちゃんを傍にあった石のベンチにそっと寝かせる。
「許さないからね。」
ラミアーに振り向いた僕の髪が、ザワザワと揺らめく。
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